8月に入り、夏本番な暑さが続いていますね。気温だけ見ると実は、昨年より低い日が多い青森ですが、湿度が高いせいか全然そんな風に感じられません。
 青森の夏といえば、ねぶた/ねぷた。ゆえに、祭りが終わると夏も終わった気がするという人も少なくないのです。
 きっとどの地域でも、その土地独特の季節感を司るものがあるのだろうと思っていますが、それとは別に自分の中で、いつもなんとなく感じている四季の始まりや終わりってありませんか?

 私の夏の始まりは、麩まんじゅう。生地に青のりが練られている、不思議な食感のおまんじゅうです。
 おそらく初めて食べたのが夏だったからだと思うのですが、なぜか強く記憶と味覚が繋がった結果、有名な祭りやら旬の食材やらをすっ飛ばして、夏の風物詩感覚部門第1位に輝きました。

 毎年期間限定とはいえ、6月頃から秋の始めくらいまで販売されているようなのですが、ツルッとした食感とすっきりとした甘さの餡子の組み合わせは、暑い夏に欲しくなるんですよねえ。そう、モチモチとツルツルの両方の性質を併せ持つのが麩まんじゅうです。



【麩まんじゅう】ぽよぽよしているまんじゅうの中には、なめらかな餡が入っています。まんじゅう界のポンデリング的存在。


 そして、季節を楽しめるのは、お茶もですね。
 例えば紅茶では、春に摘まれるものをファーストフラッシュ、夏に摘まれるものをセカンドフラッシュと呼びます。

 春摘みの茶は、若々しさの中に優しい甘みが広がり、春始め頃に吹く風のような柔らかさに包み込まれます。
 そして最近発見したのですが、ファーストフラッシュは餡子系の甘味、特に水ようかんなどつるんとした食感のものと相性がいいようなのです。もちろん麩まんじゅうとも!
 今までどら焼きなど餡子の和菓子は、やっぱり緑茶が一番だろうと思っていたのですが、緑茶のペアとはまた違った味わいを楽しめる、今イチオシのペアリングです。
 
 
【ファーストフラッシュ】まだ葉に緑が見えます。


【ファーストフラッシュ】黄金色の水色(すいしょく)。



 夏摘みの茶は、ファーストフラッシュからさらに成熟したフルーティーな香りが特徴です。

 今年のセカンドフラッシュも出揃い始め、テイスティングすることもあるのですが、人間って本当においしいものにふれた時、言葉が出る前に全身にその感動が行き渡るのだなあとしみじみ感じます。そして「おいしい」という語彙も飾りもない言葉がひとりでにぽろっと零れ出る。
 セカンドフラッシュは、茶が持つ本来の甘みがわかりやすいと思っているのですが、甘さを感じると連鎖的にどんどん「甘い」が味覚に広がっていくんですよ。面白いですよね!
 そして、毎年全く同じ味わいになるものは一つとしてなく、天候や環境によって変化する部分も楽しみの一つです。 



【セカンドフラッシュ】ファーストフラッシュと比べると、茶色の葉が多いのがわかります。ふわふわの新芽がついているものも。

 
【ネパールの茶園】


 夏は海だ!花火だ!と楽しいことがたくさんありますが、私はどうにも食方面に偏った楽しみ方になりそうです。
 まだまだ暑い日が続きそうですので、お体を大切にお過ごしくださいね。

(コノハト茶葉店/小野更紗)
春の紅茶、夏の紅茶はこちらから。